感想倉庫

観たものの感想などを。

お気に召すまま 下落合TACCS1179

劇団娯楽天国『お気に召すまま』

作 W・シェイクスピア 構成·演出 小倉昌之

 

人 生 は 舞 台

2018年は劇団娯楽天国創立30周年!
記演公演の第一弾はシェイクスピア作品!

 

 

 

 

熱量、間の使い方、配役、どれも素晴らしいものでした。

現代的にアレンジされてはいたものの、メタに頼る事無くシェイクスピアそのものをしっかりと表現されていておよそ2時間40分の大作。

流石老舗劇団、とカーテンコールでも心の中でも拍手しておりました。

 

 

 

 

お恥ずかしながら無勉の至る所でして、

シェイクスピアは今年になるまでロミオとジュリエットと夏の夜の夢以外あまり知らなかったのです。

強いてあげれば

【長い!】【愛!】【古典!】くらいの情報量でした。

 

然しながら上手いこと世は廻っているのだなぁ、と関心。いつかは観ねばと思ってはいたシェイクスピア

実は今年だけでシェイクスピアの作品を4作ほど拝見する機会がございました。

そして今年はシェイクスピア作品に触れる機会がまだある様で、いやはや、縁と言いますかなんと言いましょうか。

ちょっとずつ、シェイクスピアの良さがわかってきた(つもりになっている)私なのでした。

Cendrillon 池袋シアターKASSAI

チームジャックちゃんが読んだシンデレラ公演

『Cendrillon』

作 宇野正玖(Voyantroupe)
演出 田口真太朗(Voyantroupe)

 

「誰もが知っているシンデレラの物語」

でも、その主役がシンデレラではなかったらどうだろう?

意地悪な継母と二人のお姉さん。

もし彼女たちに感情移入出来てしまったら、まったく違うお話になるかもしれない。

シンデレラと王子が真実の愛に結ばれる裏で、弱くもしたたかに夢を描いた女たちの真実があったとしたなら。

ここにもうひとつのシンデレラストーリーの幕が開きます。

 

 

 

 

再演という事らしいのですが

チームジャックちゃんさん初観劇でした。

事情があって内容は大体知っていたのですが

知っていたからこその目線で観ました。

アナスタシアやエリアナの心の揺れや動きだったり

話の裏軸というか、先を知ってるからこそ台詞の繋がりに関心したりなど

なかなか貴重な機会になりました。

伝わらないだろうけれども

映画『プレステージ』を観た時と同じ感覚だった。

個人的にアナスタシア役の大井川さんにかなり惹かれた。

 

熱量と繊細さが両立している作品で

観に行けてよかった。いい刺激を頂けた。

 

終演後には

シングルキャストのルイスは毎日大変だろうなぁ…とか

幾度か邑上氏の出演作は拝見している筈なのに

昔、自分の作品を観に来て下さっていた事を

ふと思い出したりと 余計なことも考えたり。

 

何となく色々と考える夜を過ごしたのであった。めでたしめでたし(昔話風)

 

 

 

 

 

余談。

邑上氏とは年数で言うと割りと古い付き合いになるのですが

以前からええ声やなぁって思ってたけど

今のハスキーが入ってる声もいいなぁ。味のあるいい声だわ。

僕もいい声欲しかったわ。ハァン。。

法師ノ旅 両国シアターΧ

直也の会 番外公演

『法師ノ旅』作·演出 石橋直也

「仏は、どこだ…。」
果てしない人の煩悩。
この世界に救いはあるのか。
答えを求めて法師は旅をする。

 

 

 

主演の二反田さん、圧倒的な存在感。

登場シーンから 何かをする人物なんだとすぐに認識させられた。

勿論、衣装やら髪型やらも要因の一つ。しかし

佇まい、表情、そして豪快であり繊細でもある所作のひとつひとつこそがキャラクターの異質感を伝えているのだと感じました。

 

序盤〜中盤までは現代喜劇的な笑いどころも

あって 飽きさせる余地がない。

 

40人近く出演者がいるのに 多くのキャラを認知出来たのも キャストと脚本の質が高いからかな。

殺陣も強弱がしっかりしていて流れる様だったり力強かったり、キャラや場面に沿ったものになっていたように見えました。

終盤、両軍入り乱れての戦闘シーンはとても見応えあった。

シアターΧという大きな舞台をフル活用していて、作品の壮大さを見事に表現していた。

 

およそ3時間の大作でしたが、心から観てよかったと言える素敵な作品でした。

 

 

 

 

 

 

ここからは余談です。

 

 

お堅い硬派な作品になってます!

 

と 先輩に案内を頂いて、お堅い感じかぁー

と気構えて行ったのですが

全然イメージしていたのと違って、ちょっと拍子抜け。

先輩、ちゃんとして!

Maria 三鷹市芸術文化センター 星のホール

牡丹茶房

『Maria』作·演出 烏丸棗

欲しかった人生、望まなかった結末。普通に生きるなんて嫌で、大多数に埋もれるのなんか嫌で、唯一の人間になりたくて。
そんなこともう言ってる場合じゃない歳になってきたけど、こんな考え思春期みたいで馬鹿げてるってわかってるけど、
今更引き返すのなんて情けなくて。
ふと顔を上げたら世界は夜に沈んでいて、随分視界は狭くなり、歩く道は今にも崩れ落ちそうだと気が付いた。
私の業は、私に還る。ねえマリア、私、どうすれば良かったの?

 

 

 

心臓を抉られた。気がした。

心を燈を灯そう と一人で必死に楽しい事を考えながら帰りました。

そうしないと この作品の鋭さで寝込んでしまいそうでした。決して比喩ではなく本当にそうなりそうだった。

 

烏丸先生の作品はこちらがはじめましてだったのですが、なんてもん書くんだこの人 って恨めしさが募り、団体名と先生のお名前を覚えました。

 

沈ゆうこさんの破壊的な演技と奥野亮子さんのか細く繊細な存在が

豪雨の中、月の周りだけが雲も無く光を地上へ届けているようでした。

赤猫座さんの佇まいがとても自然で それが更に沈さんの黒い感情を際立たせていた。

舞台美術も洗練されていて、皆さんのお芝居と相性もよかった。

 

面白くて素晴らしかった、というと安く聞こえてしまいそうですが

これ以上 上手く言えない。語彙力無くてごめんなさい。

とてもしんどかったけど面白かった。

今後もお芝居に関わり続ける限り、恐らく忘れる事はないであろう素敵な作品でした。

 

 

 

 

三鷹市に訪れる機会が少なく、あとから調べたら行ってみたい所がいくつかあった。

どうせならもっと三鷹の街を探訪できる予定を組めばよかった...くっ...あ、余談です。

滅びの国 下北沢本多劇場

ロ字ック 第12回本公演

『滅びの国』作·演出 山田佳奈

 

団地”に住む主婦は、別の女にのめり込んだ旦那の帰りを待ちきれず、部屋に若い男を呼び、その場限りの関係を結ぶ。
若い男は主婦を柔らかく抱きとめると、耳元で「愛している」と言う。
それがリップサービスだということは分かっている。
だが主婦はその日から、その若い男のことばかりを考えるようになってしまう。
彼が住むのは“シェアハウス”。その場限りの慣れ合いを良しとし、蜜を舐め合うような環境。
わたしが居る場所が滅びなのか、それとも彼のいる場所が滅びなのか。
「真っ暗なトンネルの中にいるみたいに空っぽだ。わたしもあの彼も」
団地とシェアハウス。
時代を象徴するコミュニティーに居住する男女ふたりの孤独を描く。
誰でもいいから、最低なあんたでもいいから、わたしのこの渇きを満たしてほしい。

 

 

 

現代に近いようで 現代であって欲しくない国、そこにいる人々は実際にいそうな人物ばかりで

一人一人の欲が交錯していて、心を掻き乱される。

岩井俊二監督のスワローテイルをみた時と感覚を呼び起こされました。(伝わりますかね)

 

若者サイドと大人サイドで世界観が違うみたいに思えて、若者たちの中でも複雑な関係性があり なんとなく、各々が居心地よりも排除を恐れているのかなと。その空気感が学校生活の延長線上にも見えた。

大人はみんな自分勝手で、それが善意によるものか悪意によるものか 当人同士にしかわからない会話で表されていました。

 

笑いどころもきちんとあり

狙ったパートや、なぜか笑ってしまった箇所、不謹慎だけど笑わずにいられない所など

様々な種類の笑いがありました。

個人的には新庄剛志パネルがツボでした。

 

観ている人の心を掌握しているかの様で

重々しいタイトルが 終わってみればピタリと合う、脆く儚くて観ていて苦しい でもどこか他人事のような
観る人に寄って全く違う感想も出てきそうな作品でした。

 

 

 

 

ここから余談です。

 

誘って下さった水野駿太朗さん、この作品後すぐに次回出演作の集中稽古に入る事になり

受け取った台本をみて凄まじい台詞量に溜め息が漏れたそうです。

.......お疲れ様でした。

はじめまして。

おふじなおき と申します。芸名です。

お芝居やら芸能活動をしております。

 

こちらでは私が観たもの、映画やら舞台やらの感想などを拙い文章力で綴って行こうと思います。

思い出した作品、近日中に観た作品など纏められそうなものを順次更新します。

唐突に、幾数年前の作品を扱う様な事もあります。追記編集もしたり。

 

一人の時、文化人を気取りたい時など お好きなタイミングでご覧頂ければ相応に時間を潰せるかと思います。

個人的な感想なのであまり真剣に受け止めないでくださいね。